1.東北地方の自然
地形
東北地方の中央部を南北に長く走るのが奥羽山脈(おうう)です。
その西側には出羽山地(でわ)、東側にはなだらかな北上高地(きたかみ)や阿武隈高地(あぶくま)が分布しています。
これらの山地や高地の山間部には、山形盆地や北上盆地、福島盆地など多くの盆地が形成されています。
また奥羽山脈から流れる河川は、下流に秋田平野、庄内平野、仙台平野などの平野をつくっています。
青森県南東部から岩手県をへて、宮城県北東部に続く太平洋岸は、山地が沈水して入江と岬がくり返すリアス海岸として有名で、三陸海岸と呼ばれています。
※リアス海岸とは
ノコギリの刃のように、複雑に入り組んでいる海岸線のこと。
河川などが削ってできた深い谷間に、海が入り込むことによってできる。
気候
東北地方の気候は、日本海側と太平洋側で大きく異なります。
日本海の湿った空気の影響を受けた冬の北西季節風は、日本海側に多くの雪を降らせます。
そのあと奥羽山脈を越えると、今度は乾いた風が吹きやすくなります。
そのため冬の降水量に大きな差が出て、日本海側の方が年降水量は多くなります。
夏は南下してくる親潮(千島海流)の影響で太平洋側の方が涼しくなります。
特にやませとよばれる太平洋からの冷たい北東風が吹くとさらに気温が下がります。
夏は冬とは逆に、日本海側に乾いた風が吹き下ろして高温になります。これをフェーン現象といいます。
この影響で夏は日本海側の方が暑くなることが多いのです。
また、内陸の盆地である山形や福島は内陸性気候で、東北地方の中では年降水量が少なく、気温の年較差が大きいという特徴があります。
2.東北地方の農業
東北地方は日本の米どころとして知られています。
秋田県の秋田平野、山形県の庄内平野、宮城県の仙台平野が米の栽培の中心地です。
これらの県はいずれも米の生産が全国の上位にランクされます。
ただ先ほど説明したように、夏には太平洋からの低温で湿った風「やませ」が吹くという特徴があります。
このやませが吹く期間が長くなると、気温が下がるだけでなく日照時間も短くなり、太平洋岸ではその年の米の収穫が減ってしまいます。
これを冷害と呼んでいます。
また、東北地方は果物の生産も非常に多く、冷涼な気候を好むリンゴは東北地方を代表する果物です。
青森県はリンゴの生産が日本一です。その栽培は津軽平野を中心に行われています。
山形県はサクランボや西洋ナシの生産が日本一で、果物王国とも言われています。栽培の中心は山形盆地です。
さらに福島県のモモも、全国的な生産を上げています。
3.東北地方の水産業
三陸海岸の沖合は、寒流の親潮(千島海流)と暖流の黒潮(日本海流)がぶつかる潮目を形成しています。
この潮目では豊富な種類の魚が漁獲さるので、世界的な漁場になっています。
リアス海岸である三陸海岸の入江は、岬に囲まれて水深も大きいという特徴があります。
この場所では天然の良港と呼ばれる漁港が多く発達してきました。
青森県の八戸(はちのへ)や宮城県の気仙沼(けせんぬま)、石巻(いしのまき)は日本有数の水揚げ高を誇っています。
さらに、リアス海岸である波のおだやかな入江は養殖場に適しており、ワカメの養殖は岩手県と宮城県で日本の3分の2を占めています。
4.東北地方の工業
東北地方の現在の工業の中心は、東北自動車道などの高速道路沿いに発達したIC(集積回路)工場や電気機械工場です。
輸送に便利な高速道路沿いに広い土地が多く残っていた東北地方に、企業が進出して工場をつくったのです。
この工業地帯をシリコンロードと呼んでいます。
5.東北地方のまとめ
▼自然
・中央部を南北に走る奥羽山脈。
・山間部の山形盆地、北上盆地(岩手県)、福島盆地。
・日本海側の秋田平野、庄内平野(山形県)、太平洋側の仙台平野。
・太平洋岸の三陸海岸は典型的なリアス海岸。
・日本海側は冬の北西季節風の影響で降雪が多く、夏はフェーン現象で高温。
・太平洋側は親潮(千島海流)とやませの影響で夏でも冷涼。
▼農業
・平野部を中心に東北地方は日本の米どころ。
・太平洋側では、やませによって冷害が発生する場合もある。
・青森のリンゴ、山形のサクランボ、西洋ナシは生産日本一。
▼水産業
・親潮と黒潮の潮目がある三陸沖は世界的漁場。
・八戸、気仙沼、石巻は水揚げ高日本有数の天然の良港。
・リアス海岸の入江で養殖されるワカメは岩手県、宮城県で全国の3分の2.
▼工業
・高速道路沿いにIC関連工場が多く、シリコンロードと呼ばれる。
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