1.アンモニアの性質
▼アンモニアとは
化学式はNH₃
窒素原子1つと水素原子3つが↓のように四面体の構造をしています。
アンモニアの基本的な性質
・水に溶けやすい。
・空気より軽い。
→そのため上方置換法で集めるのが適切。
・水に溶けるとアンモニア水となり、アルカリ性を示す。
・鼻をさすようなにおい(刺激臭)がある。
・有毒である。
2.アンモニアの電離
アンモニアは上記のとおり水に溶けやすいです。
そして、その水溶液はアルカリ性を示します。
このとき次のような反応が起こっています。
NH₃ + H₂O → NH₄⁺ + OH⁻
水に溶けたとき、水酸化物イオンOH⁻が生じるため、アルカリ性であると言えます。
しかしpHはさほど高くはなく、割と弱いアルカリ性です。
NH₄⁺をアンモニウムイオンと呼びます。
アンモニウムイオンは中和反応のとき、さまざまな酸と塩をつくります。
アンモニウムイオンによってできる塩には次のようなものがあります。
塩化アンモニウム NH₄Cl
塩酸とアンモニアの中和によってできる。
反応式 HCl + NH₃ → NH₄Cl
・無色の固体。
・別名を塩安(えんあん)という。
・肥料として用いられる。または肥料の材料としても用いられる。
硫酸アンモニウム (NH₄)₂SO₄
硫酸とアンモニアの中和によってできる。
反応式 H₂SO₄ + 2NH₃ → (NH₄)₂SO₄
・無色の固体。
・別名を硫安(りゅうあん)という。
・代表的な肥料の1つ。
・水を加えると吸熱反応が起こる。
硝酸アンモニウム NH₄NO₃
硝酸とアンモニアの中和によってできる。
反応式 HNO₃ + NH₃ → NH₄NO₃
・無色の固体。
・別名を硝安(しょうあん)という。
・代表的な肥料の1つ。
・水を加えると発熱する。
→この性質を利用して爆薬に使用されることもある。
2.アンモニアの毒性
人体の中でアミノ酸が分解されると(細胞呼吸によって分解されます)アンモニアが生じます。
しかしアンモニアには毒性があります。
そのため何とか早めに処理しなくてはなりません。
そこで血液によって肝臓まで運ばれます。
肝臓では、アンモニアは毒性の低い尿素へとつくりかえられます。
そして尿素は血液によって腎臓に運ばれ、その後ぼうこうに蓄えられます。
そして、いらない塩分や水分とともに尿として排出されます。
3.アンモニアの合成方法
ハーバー・ボッシュ法
現在、もっとも主流であるアンモニアの合成方法です。
水素と窒素を高温高圧のもと反応させます。
反応式 N₂ + 3H₂ → 2NH₃
塩化アンモニウム+水酸化カルシウム
塩化アンモニウムNH₄Clは、アンモニウムイオンNH₄⁺に塩化物イオンCl⁻が結びついたものです。
アンモニアは弱いアルカリ性ですので、塩化アンモニウムは弱アルカリが塩になったものと言えます。
そこに水酸化カルシウムCa(Oh)₂を加えます。
水酸化カルシウムは強いアルカリ性。
このとき塩化アンモニウム中のアンモニウムイオンの居場所は、水酸化カルシウムにうばわれてしまいます。
水酸化カルシウムによって居場所を追われたアンモニウムイオンはアンモニアとなり単独行動せざるを得なくなります。
このように、弱アルカリの塩は、強アルカリに居場所をうばわれ追い出されます。
このようすを化学反応式で書くと
2NH₄Cl + Ca(OH)₂ → CaCl₂ + 2H₂O + 2NH₃
です。
・アンモニアは窒素原子を含む肥料(窒素肥料)の原料となる。
・弱アルカリの塩+強アルカリの反応では・・・
→弱アルカリは、強アルカリに居場所をうばわれ追い出される。
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