成績アップの秘訣~基礎と実践のバランス「中学理科#167~ダニエル電池~」 勉強が好きになる小中高生向け学習塾「札幌自学塾」

 

 

 

 

 

前回 イオン化傾向

 

 

 

1.ダニエル電池

 

ダニエル電池の構造

ダニエル電池で用いる電極は亜鉛板銅板です。

 

電解質水溶液としては硫酸亜鉛水溶液硫酸銅水溶液の2種類を、素焼き板(セロハンの場合もあります)で仕切りながら使われています。↓

 

 

 

硫酸亜鉛と硫酸銅は次のように電離します。

 

ZnSO4 → Zn²⁺ + SO₄²⁻

 

CuSO₄ → Cu²⁺ + SO₄²⁻

 

 

 

よって・・・

 

容器の左側には亜鉛イオンZn²⁺硫酸イオンSO₄²⁻が、

 

容器の右側には銅イオンCu²⁺硫酸イオンSO₄²⁻が存在します。↓

 

 

 

 

 

ダニエル電池のしくみ

 

①イオン化傾向

亜鉛と銅では、亜鉛の方がイオン化傾向が大きいです。

 

つまり

 

亜鉛・・・(陽)イオンになりたい

 

銅・・・・(陽)イオンになりたくない

 

という違いが生じます。

 

 

 

 

②亜鉛版での変化

イオン化傾向の大きな亜鉛がイオンとなります。

 

 

具体的には

 

亜鉛原子Znが、電子を失って亜鉛イオンZn²⁺になる

 

という変化が起こります。↓

 

 

 

 

式で書くと Zn → Zn²⁺ + 2e⁻

 

※「e⁻」は電子のこと

 

 

見た目では、亜鉛版はどんどん溶け出し、質量が減少します。

 

 

 

③銅版での変化

亜鉛原子が手放した電子は、導線を通って銅板にたどり着きます。

 

放っておくと銅板にはどんどん電子がたまります。

 

この電子を受け取るのが、液中の銅イオンCu²⁺です。

 

 

銅はイオン化傾向が小さい金属です。

 

つまり原子にもどりたいということです。

 

 

具体的には

 

銅イオンCu²⁺が、電子を得て銅原子Cuとなる

 

という変化が起こります。↓

 

 

 

 

式で書くと Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu

 

 

 

見た目では、銅が析出し、銅板の質量が増加します。

 

 

 

 

素焼き板の役割

 

①左側(硫酸亜鉛水溶液)の濃度の変化

左側では、亜鉛イオンがどんどん生じます。

 

 

最初と比べて亜鉛イオンの濃度が高くなります

 

 

左側は、全体として+にかたよることになります。

 

(+の電気の方が多くなる)

 

 

 

①右側(硫酸銅水溶液)の濃度の変化

右側では、銅イオンがどんどんなくなります。(銅原子へと変化する)

 

 

最初と比べて銅イオンの濃度が低くなります

 

 

右側は、全体として-にかたよることになります。

 

(-の電気の方が多くなる)

 

 

 

 

 

 

③素焼き板による調整

電子は-の電気を持つので、+と引き合い、-としりぞけ合います。

 

そのため電子が左側から右側に移動がしづらくなり、徐々に電池の電圧(起電力)が低下します。

 

 

素焼き板はこれを防ぐための役割を持ちます。

 

 

素焼き板にはイオンが通過できるほどの小さな穴が開いています。

 

 

 

左側は+にかたよっているので、右側から硫酸イオンSO₄²⁻が移動してきます。

 

 

右側は-にかたよっているので、左側から亜鉛イオンZn²⁺が移動してきます。↓

 

 

 

 

 

こうなることで左右ともに電気的に中性の状態が保たれます。

 

つまり起電力の低下を防ぐことができるのです。

 

 

 

 

ダニエル電池の注意点

 

①硫酸亜鉛水溶液の濃度は低くしておく

反応が進むと亜鉛イオンが液中に溶けだします。

 

 

そのため、できるだけ亜鉛イオンの居場所をつくるために、硫酸亜鉛水溶液の濃度を低くしておきます

 

(亜鉛イオンを溶け出しやすくする)

 

 

そうすると電池が長持ちします。

 

 

 

②硫酸銅水溶液の濃度は高くしておく

反応が進むと液中の銅イオンが減少していきます。(銅原子に変わる)

 

そのため、はじめの銅イオンが少ないとすぐに反応が終わってしまいます。

 

 

できるだけ銅イオンがたくさんある状態にするために、硫酸銅水溶液の濃度を高くしておきます

 

(銅原子を析出しやすくする)

 

 

そうすると電池が長持ちします。

 

 

 

 

 

 

- POINT -

 

「ダニエル電池」

 

■亜鉛版では・・・

 

→亜鉛原子が電子を失って亜鉛イオンとなる。

 

 

■銅板では・・・

 

→銅イオンが電子を得て銅原子となる。

 

 

 

 

 

次回は「アンモニアの利用」です!

 

 

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