1.イオン化傾向とは
▼イオン化傾向
金属原子や水素原子のイオンへのなりやすさのこと。
以下のの原子はどれも陽イオンになる可能性があるものばかりです。(陰イオンにはなりません)
▼イオン化傾向
どれくらい陽イオンになりやすいのか、そのなりやすさを表すのがイオン化傾向です。
イオン化傾向の大きい左のものほど
イオンになりやすい・イオンでいたい
ということです。
対して、イオン化傾向の小さい右のものほど
イオンになりにくい・イオンでいたくない
ということ。
言いかえます。↓
イオン化傾向の大きいものは・・・
・最初の状態が原子ならイオンになろうとする
・最初の状態がイオンならイオンのまま
イオン化傾向の小さいものは・・・
・最初の状態が原子なら原子のまま
・最初の状態がイオンなら原子になろうとする
2.イオン化傾向の違いで起こる化学変化
イオン化傾向の差によって化学変化が引き起こされることがあります。
中学では主に3つを学習します。
①酸と金属の反応
②硫酸銅と金属イオンの反応
③電池
このページでは①と②について説明します。
①酸と金属の反応
酸とは電離して水素イオンH⁺を生じる物質のことです。
では酸に亜鉛Znの金属板を入れてみるとどうなるでしょう。
まず水素イオンH⁺と亜鉛原子Znが存在しています。
ここでHとZnのイオン化傾向を比べてみましょう。
▼イオン化傾向
イオン化傾向が大きいのはZn、小さいのはHです。
つまり・・・
・亜鉛原子Znはイオンになろうとする
・水素イオンH⁺は原子になろうとする
ということ。
そしてZnはZn²⁺になるために電子を2個はなします。
水素イオンH⁺はその電子をもらって水素原子Hになろうとします。
この水素原子が2つずつ結びつき、水素分子H₂(水素の気体)として発生します。
この変化をイオン式や化学式で表すと
・亜鉛原子Znの変化 Zn → Zn²⁺ + 2e⁻
・水素イオンH⁺の変化 2H⁺ + 2e⁻ → H₂
よって
「酸」+「水素Hよりもイオン化傾向の大きい金属」
の組み合わせでは水素が発生します。↓
これは水素の代表的な発生方法です。
反対に「水素Hよりもイオン化傾向の小さいCuやAg」を酸に加えても、反応は起こりません。
CuやAgはイオン化傾向が小さい=原子のまま(イオンになろうとしない)ためです。
②硫酸銅水溶液と金属の反応
硫酸銅は化学式CuSO₄で示される物質です。
液中では次のように電離します。
CuSO₄ → Cu²⁺ + SO₄²⁻
この硫酸銅の溶けた水溶液に金属を加えてみるとどうなるでしょう。
ここではマグネシウムを加えた場合について考えていきます。
まずマグネシウム原子Mgと銅イオンCu²⁺が存在しています。
この2つのイオン化傾向を比べてみましょう。↓
▼イオン化傾向
イオン化傾向が大きいのはMg、小さいのはCuです。
つまり・・・
・マグネシウム原子Mgはイオンになろうとする
・銅イオンCu²⁺は原子になろうとする
ということ。
このためMgはMg²⁺になるために電子を2個はなします。
銅イオンCu²⁺はその電子をもらって銅原子Cuになろうとします。
この変化をイオン式や化学式で表すと
・マグネシウム原子Mgの変化 Mg → Mg²⁺ + 2e⁻
・銅イオンCu²⁺の変化 Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu
よって
「硫酸銅水溶液」+「銅Cuよりもイオン化傾向の大きい金属」
の組み合わせでは銅の固体が析出するという変化が見られます。↓
「銅よりもイオン化傾向の小さい金属」では反応は起こりません。
(銅の方がイオン化傾向が大きい=銅イオンはイオンのまま)
ほかにも・・・
硫酸亜鉛水溶液に金属を加えたときを考えてみましょう。
硫酸亜鉛は次のように電離します。
ZnSO₄ → Zn²⁺ + SO₄²⁻
この硫酸亜鉛水溶液に金属を入れたときに反応が起こるのは
「亜鉛よりもイオン化傾向の大きな金属」を入れたとき
です。↓
亜鉛よりイオン化傾向の大きい金属を入れると
・その金属はイオン化傾向が大きいのでイオンとなり溶け出す。
・亜鉛イオンZn²⁺はイオン化傾向が小さいので原子になろうとする。
という反応が起こります。
イオン化傾向の大きいものは・・・
・最初の状態が原子ならイオンになろうとする。
・最初の状態がイオンならイオンのまま。
イオン化傾向の小さいものは・・・
・最初の状態が原子なら原子のまま。
・最初の状態がイオンなら原子になろうとする。
次回は「ダニエル電池」です!
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