成績アップの秘訣~基礎と実践のバランス「中学理科#165~電気分解で生じるもの~」 勉強が好きになる小中高生向け学習塾「札幌自学塾」

 

 

 

 

 

前回 発熱反応と吸熱反応

 

 

 

 

1.電気分解で生じるもの

電気分解が起こったとき、陽極や陰極ではどのような物質が生じるのかを考えましょう。

 

 

どのような物質が生じるかは、ある程度規則性があります。

 

その規則性は、溶けている物質(溶質)から電離して生じるイオンによります。

 

 

では陽極と陰極のそれぞれについて見ていきましょう。

 

 

 

 

陽極の場合

 

陽極では

 

陰イオンが電子を得て、原子になる

 

という反応が起こりますね。

 

 

 

液中に塩化物イオンCl⁻がある場合

塩化物イオンCl⁻が電子を失い、塩素原子Clとなります。

 

 

その結果、塩素の気体Cl₂が発生します。

 

 

式で書くと 2Cl⁻ → Cl₂ + 2e⁻ (「e⁻」は電子のこと)

 

 

 

 

液中に水酸化物イオンOH⁻がある場合

水酸化物イオンOH⁻が電子を失います。

 

 

その結果、酸素の気体O₂が発生します。

 

 

式で書くと 4OH⁻ → O₂ + 2H₂O + 2e⁻

 

 

 

 

液中にCl⁻もOH⁻もない場合

この場合、液中にSO₄²⁻やNO₃⁻などがあることが多いです。

 

これらはさまざまな原子が集まってイオンになっています。(多原子イオンという)

 

 

だから重たい、そのため動きにくい。

 

 

よって反応に関与しないと覚えておきましょう。

 

 

 

 

では陰極は誰から電子をもらうのでしょうか・・・?

 

 

 

答えは水H₂Oです。

 

 

電子を持っていそうなのは水しかありません。

 

 

水分子H₂Oが電子を失います。

 

(水は陰イオンではないので、まさに“無理やり”引き起こしている反応です。そのため、そんなに起こりやすい反応ではありません)

 

 

 

その結果、酸素の気体O₂が発生します。

 

 

式で書くと 2H₂O → 4H⁺ + O₂ + 2e⁻

 

 

 

 

陰極の場合

 

陰極では

 

陽イオンが電子を失って、原子になる

 

という反応が起こりますね。

 

 

 

陰極ではイオン化傾向というものが関係してきます。

 

 

イオン化傾向とは「どれだけイオンになりやすいか・なりにくいか」を表します。

 

 

中学では、次の8つを覚えておくとよいでしょう。(どれも陽イオンになるものばかりです)

 

 

 

▼イオン化傾向

 

 

 

 

 

電気分解の話にもどります。

 

 

液中に水素Hよりイオン化傾向が大きいイオンがある場合

 

イオン化傾向が大きい=できるだけイオンのままでいたい

 

ということです。

 

 

つまりイオン化傾向の大きいイオンには何も起こりません。

 

 

 

一方で水素イオンH⁺は

 

イオン化傾向が小さい=できるだけイオンでいたくない

 

ということです。

 

 

よって陰極から電子を得て、水素原子にもどります。

 

その結果、水素の気体H₂が発生します。

 

 

式で書くと 2H⁺ + 2e⁻ → H₂

 

 

 

 

 

液中に水素Hよりイオン化傾向が小さいイオンがある場合

 

イオン化傾向が小さい=できるだけイオンでいたくない

 

ということです。

 

 

イオンでいたくないので、原子にもどろうとします。

 

 

一方で水素イオンH⁺は、それに比べて

 

イオン化傾向が大きい=できるだけイオンのままでいたい

 

のです。

 

 

よって水素イオンH⁺には何も起こりません。

 

 

 

したがってイオン化傾向の小さなイオンが、陰極から電子を得て原子にもどります。

 

 

銀イオンAg⁺ならば、陰極から電子を得て、銀原子Agになります。

 

式で書くと Ag⁺ + e⁻ → Ag

 

 

 

 

銅イオンCu²⁺ならば、陰極から電子を得て、銅原子Cuになります。

 

式で書くと Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu

 

 

 

 

 

2.まとめ

ここまでのことをまとめると

 

 

陽極では・・・

 

陰イオンが電子を失って、原子になる。

 

①液中にCl⁻がある・・・塩素の気体Cl₂が発生

 

②液中にCl⁻がない・・・酸素の気体O₂が発生

 

 

 

陰極では・・・

 

陽イオンが電子を得て、原子になる。

 

①液中にHよりイオン化傾向が大きいイオンがある・・・水素の気体H₂が発生

 

②液中にHよりイオン化傾向が小さいイオンがある・・・そのイオンが原子となる

 

 

(※以上の電気分解は、電極が白金や炭素のとき)

 

 

 

 

 

次回は「イオン化傾向」です!

 

 

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