成績アップの秘訣~基礎と実践のバランス「中学理科#157~鉄の精錬~」 勉強が好きになる小中高生向け学習塾「札幌自学塾」

 

 

 

 

 

前回 物質どうしの化学変化

 

 

 

 

1.鉄の精錬

鉄は日常生活において非常によく使われている金属です。

 

自然界において、鉄は鉄のまま存在しているわけではありません。

 

地球(地殻やマントルも含め)には約35%の鉄原子が含まれます。

 

これらは酸化鉄として自然界に存在します。

 

 

では、その酸化鉄はどこにあるのか? というと鉄鉱石の中にあります。

 

鉄鉱石(酸化鉄)には2種類あります。

 

1つは化学式で「Fe₂O₃」と書かれる赤鉄鉱

 

もう1つは化学式で「Fe₃O₄」と書かれる磁鉄鉱

 

現代では、赤鉄鉱Fe₂O₃を使って製鉄(鉄を取り出す)のが主流です。

 

 

 

鉄の精錬のしくみ

ではそのしくみを見ていきましょう。

 

 

赤鉄鉱Fe₂O₃から鉄Feを取り出すには、還元の化学変化を利用します。

 

 

中学で学習する還元と言えば

 

酸化銅の炭素による還元

 

が真っ先に浮かびます。

 

 

赤鉄鉱Fe₂O₃から鉄Feを還元するのにも、炭素Cを利用します。

 

実際には炭素のままではなく、一酸化炭素COに変えてから還元反応を起こします。

 

赤鉄鉱Fe₂O₃の還元には、溶鉱炉を利用します。

 

 

 

溶鉱炉に赤鉄鉱Fe₂O₃とコークスを入れます。

 

(※コークスとは石炭を乾留(蒸し焼きのこと)し、炭素のみにしたもの。要は炭素Cだと思ってください。)

 

ほかにも石灰石CaCO₃を入れておきます。

 

 

 

溶鉱炉で起こる反応

まず溶鉱炉では炭素Cが燃焼します。

 

C + O₂ → CO₂ ・・・① (炭素の(完全)燃焼)

 

 

また石灰石が熱風により分解されます。

 

CaCO₃ → CaO + CO₂ ・・・② (石灰石の分解)

 

 

 

①②で生じた二酸化炭素CO₂はコークスCと反応し、一酸化炭素COへと変化します。

 

CO₂ + C → 2CO ・・・③

 

 

 

 

 

③で生じた一酸化炭素COが赤鉄鉱Fe₂O₃の還元に使われます。

 

このとき赤鉄鉱Fe₂O₃は

 

Fe₂O₃ → Fe₃O₄ → FeO → Fe

 

と段階的に還元されます。

 

 

 

まず「Fe₂O₃」から「Fe₃O₄」へと還元される反応は

 

3Fe₂O₃ + CO → 2Fe₃O₄ + CO₂ ・・・④

 

 

※Fe₂O₃が還元され、一方でCOは酸化されてCO₂へと変化。

 

 

 

次に「Fe₃O₄」から「FeO」へと還元される反応は

 

Fe₃O₄ + CO → 3FeO + CO₂ ・・・⑤

 

※Fe₃O₄が還元され、一方でCOは酸化されてCO₂へと変化。

 

 

 

最後に「FeO」から「Fe」へと還元される反応は

 

FeO + CO → Fe + CO₂ ・・・⑤

 

※FeOが還元され、一方でCOは酸化されてCO₂へと変化。

 

 

 

④と⑤をまとめます。

 

連立方程式の加減法のように「⑤の両辺を2倍したもの」と「④」とを足してみます。

 

Fe₃O₄の係数をそろえるのです。↓

 

 

 

以上から

 

Fe₂O₃ + CO → FeO + CO₂ ・・・⑦

 

 

という反応式が得られました。

 

 

 

次に「⑥の両辺を2倍したもの」と「⑦」を足します。

 

FeOの係数をそろえます。↓

 

 

以上から次の反応式が得られます。

 

Fe₂O₃ + 3CO → 2Fe + 3CO₂ ・・・⑧

 

 

この⑧式が④~⑤をまとめたものになります。

 

このようにして溶鉱炉の中で鉄Feができるのです。

 

 

 

溶鉱炉でできた鉄には炭素が混ざっており、硬くてもろいという性質があります。(少し力を加えただけでくずれて、金属本来の性質である展性・延性がない)

 

この様な鉄を銑鉄(せんてつ)といいます。

 

 

 

最後に銑鉄から炭素を取りのぞき、鉄の純度を上げていかなければなりません。

 

そのために転炉(てんろ)というところに銑鉄を入れます。(銑鉄は融解しておく)

 

そこに炭素を吹き込み、炭素を酸化します。

 

こうすることで銑鉄から不純物である炭素を取りのぞきます。

 

 

このとき得られた、純度の高い鉄を特に鋼(こう)といいます。

 

以上のようなしくみで、鉄鉱石から鉄を取り出します。

 

 

 

まとめ

溶鉱炉の中に酸化鉄Fe₂O₃・コークスCを入れて以下の式のような反応を起こす。

 

 

3Fe₂O₃ + CO → 2Fe₃O₄ + CO₂

 

 

 

 

Fe₃O₄ + CO → 3FeO + CO₂

 

 

 

FeO + CO → Fe + CO₂

 

 

この結果、得られた鉄は炭素を含んでいる。

 

これを銑鉄といい、もろい。

 

 

そのため、転炉で酸素を吹き込んで、混ざっている炭素を酸化する。

 

このようにして純度の高い鉄を得る。

 

 

 

 

 

- POINT -

 

・鉄の単体は自然界にはあまり存在しない。

 

・鉄鉱石中の酸化鉄をコークスで還元して、鉄の単体を得る。

 

 

 

 

次回は「噴火と火山噴出物」です!

 

 

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