1.溶解度の計算問題
溶解度に関する計算問題はバリエーションが豊富です。
ここでは最低限覚えておくべき解法を紹介します。
以下の例題ではすべて溶質をXという物質であるとし、各温度における水100gに溶ける量(溶解度)が↓の表のようになっているとします。
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例題1
40℃の水にXを溶けるだけ溶かし、飽和水溶液をつくった。質量パーセント濃度はいくらか。
小数第2位を四捨五入して答えよ。
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【解答】
水の量が指定されていません。
じゃあ求められないのか? というとそうではありません。
求めるのは飽和水溶液の濃度です。
同じ物質、同じ温度であるなら、飽和水溶液の量が変化しても、濃度は常に一定です。
ここではとりあえず、水の量を100gと仮定して解きましょう。
ちなみに質量パーセント濃度は以下の式で求められます。
▼質量パーセント濃度を求める公式
質量パーセント濃度=溶質(g)÷ 水溶液全体(g)× 100
40℃の水100gには物質Xが8.7gとけるので
8.7g ÷(100g+8.7g)× 100 = 8.00・・・= 8%
よって正解は8%です。
例題2
80℃の水にXを溶けるだけ溶かし、飽和水溶液を260gつくった。
この飽和水溶液から水を20g蒸発させると、結晶として現れるXは何gか。
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【解答】
蒸発させた水20gに溶けていたXが結晶として現れます。
すなわち、(蒸発させる)20gの水に溶けるXの量を求めればよいのです。
現れる結晶の質量をx(g)とすると
100g:23.6g=20g:x(g)
(「飽和水溶液の量:溶けているXの量」という比例式)
これを解いてx=4.72
よって正解は4.72gです。
例題3
100℃の水にXを溶けるだけ溶かし、飽和水溶液を140.3gつくった。
(1)この中に溶けているXは何gか。
(2)この水溶液の温度を40℃まで下げたとき、生じる結晶は何gか。
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【解答】
(1)
まず状況を整理しましょう。
いま水の量がわかりませんが、表より
100℃の水100gにXは40.3gまで溶ける
ことがわかります。
よって飽和水溶液140.3gには、Xは40.3g溶けていることがわかります。
(2)
(1)より、今の水の量は100gです。
表より
40℃の水100gにXは8.7gまで溶ける
ことがわかります。
もともと溶けていたXは40.3gなので、生じる結晶は
40.3g-8.7g=31.6g
となります。
よって正解は31.6gです。
このことから、求める値をa(g)とすると
例題4
20℃の水にXを溶けるだけ溶かし、飽和水溶液を315gつくった。
(1)この中に溶けているXは何gか。
(2)この水溶液の温度を0℃まで下げたとき、生じる結晶は何gか。
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【解答】
(1)
いま水の量がわかりませんが、表より
20℃の水100gにXは5.0gまで溶ける
ことがわかります。
つまり飽和水溶液105gには、Xが5g溶けているということです。
では飽和水溶液315gに溶けているXの量をy(g)とすると
105g:5g=315g:y(g)
(「飽和水溶液の量:溶けているXの量」という比例式)
これを解いてy=15
よって正解は15gです。
(2)
(1)より、今の水の量は
315g-15g=300g
であることがわかります。
表より
0℃の水100gにXは2.7gまで溶ける
ことがわかります。
よって
0℃の水300gにXは 2.7g×3=8.1g まで溶ける
ことがわかります。
したがって生じる結晶は
15g-8.1g=6.9g
となり、正解は6.9gです。
例題5
60℃の水にXを溶けるだけ溶かし、飽和水溶液を100gつくった。
この水溶液の温度を20℃まで下げたとき、生じる結晶は何gか。
小数第2位を四捨五入して答えよ。
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【解答】
まず表より
60℃の水100gにXは14.8gまで溶ける
20℃の水100gにXは5.0gまで溶ける
ことがわかります。
ここから60℃の飽和水溶液114.8gを20℃まで下げると
14.8g-5.0g=9.8g
の結晶が生じることがわかります。
つまり
60℃の飽和水溶液114.8g
→20℃まで下げると9.8gの結晶
ということです。
いま問題では
60℃の飽和水溶液100g
→20℃まで下げると?gの結晶
を考えさせていますね。
ここでz(g)の結晶が現れるとすると
114.8g:9.8g=100g:z(g)
(「飽和水溶液の量:結晶の量」という比例式)
という式が立てられます。
これを解いて
z=8.53・・・
z≒8.5g
よって正解は8.5gです。
次回は「蒸留」です!
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