1.比熱とは
熱量の単位には2つあります。
・J(ジュール)
・cal(カロリー)
「cal」という単位は、水を基準に定められています。
水1gの温度を1℃上げるのに必要な熱量を1calとする
という基準です。
昔は「cal」という単位が広く使われました。
現在は「J」の単位を使うことが推奨されています。
「J」と「cal」には
1cal=4.184J
という関係があります。
ただ数字として扱いにくいため、中学理科では
1cal=約4.2J
とすることが多いです。
つまり
水1gの温度を1℃上げるのに必要な熱量は4.2Jである
と言いかえることができます。
この4.2Jは水の性質です。
温度を1℃上げるために、もっと熱が必要な物質もあります。
反対に、もっと少ない熱で済む物質もあります。
すなわち、温まりやすい物質、温まりにくい物質があります。
その性質の違いを表す値が比熱です。
▼比熱
物質1gの温度を1℃上げるのに必要な熱量のこと。
たとえば水の比熱は約4.2J。
※正確な単位は(cal/g・℃)または(J/g・℃)
比熱が大きいと物質は・・・
→温めるのに必要な熱が多い。つまり、温まりにくい物質。
比熱が小さいと物質は・・・
→温めるのに必要な熱が少ない。つまり、温まりやすい物質。
▼物質が得た熱量と比熱の関係
物質が得た熱量(J)=比熱×物質の質量(g)×上昇温度(℃)
例題
次のような装置で、25Ωの電熱線に50Vの電圧を加えて、6分間電流を流した。
このとき200gの液体Pの温度は14℃上昇した。
液体Pの比熱はいくらか。
ただし電熱線から発生した熱のうち35%が液体Pの温度上昇に使われたものとする。
【解答】
この実験では
・電熱線から熱が出た
・その熱の一部(35%)が液体Pに入った
という流れで液体Pの温度が上昇しています。
まず電熱線から出た熱の量(発生した熱量)を求めましょう。
次の公式を使います。
電熱線から発生した熱量(J)=電力(W)×時間(s)
この問いでは25Ωの電熱線に50Vの電圧を加えています。
オームの法則から
電流(A)=50V÷25Ω=2A
よって
電力(W)=50V×2A=100W
したがって電熱線から発生した熱量は
電熱線から発生した熱量(J)=100W×360秒=36000J
となります。
このうち「35%が液体Pの温度上昇に使われた」とあるので
36000×0.35=12600J・・・①
の熱量が液体Pに入ったことになります。
ここで液体Pの比熱をxとして、液体Pに入った熱量を式で表してみましょう。
液体Pが得た熱量=x×200g×14℃=2800x(J)・・・②
①と②は等しいはずなので、次の式が成り立ちます。
12600=2800x
x=4.5
よって液体Pの比熱は4.5(J/g・℃)となります。
比熱の問題を解くときは・・・
①「電熱線から出た熱量=電力(W)×時間(秒)」によって「出た熱量」を求める。
②「物質が得た熱量=比熱×物質の質量(g)×上昇温度(℃)」によって「入った熱量」を求める。
③ この2つの関係を式に表す。