1.水の温度変化
▼熱量の単位
熱量の単位は2つ。【J】(ジュール)と【cal】(カロリー)。
▼水の性質
水1gの温度を1℃上げるのに必要な熱量は1cal。1cal=約4.2J。
「cal」と「J」の関係は1cal=約4.2Jです。
(1J=0.24calとなっている場合もあります。)
つまり水1gの温度を1℃上げるのに必要な熱量は約4.2Jとも言えます。
▼水の性質から考えた熱量
水1gの温度を1℃上げるのに必要な熱量が1calなので、次の式が成り立つ。
水に入った熱量(cal)=水の量(g)×上昇温度(℃)
1cal=4.2Jとすると次のように表すこともできる。
水に入った熱量(J)=4.2×水の量(g)×上昇温度(℃)
たとえば、水200gの温度を5℃上昇するのに必要な熱量は
200g×5℃=1000cal
となります。
ここで「1cal=4.2J」を利用すれば、
1000cal=1000×4.2=4200J
と単位を「cal」から「J」へと変換することもできます。
例題1
次のような回路で容器内の水を温める。
280秒間電流を流したときの水の上昇温度は何℃か。
ただし、電熱線から発生した熱量は水の温度上昇のみに使われるものとし、また1cal=4.2Jとする。
【解答】
まず電熱線から出る熱量を求めます。
熱量は
熱量(J)=電力(W)×時間(s)
で求められます。
電力の公式から
電力(W)=電流(A)×電圧(V)=0.5A×60V=30W
そして熱量の公式から
電熱線から出た熱量=30W×280秒=8400J・・・①
となります。
次に
水の温度がx℃上昇する
として水に入った熱量を求めましょう。
水に入った熱量(cal)=水の量(g)×上昇温度(℃)=100g×x(℃)=100x(cal)
1cal=4.2Jとしているので
100x(cal)×4.2=420x(J)・・・②
となります。
ここで「電熱線から発生した熱量は水の温度上昇のみに使われる」とあるため、①と②は等しいことになります。
よって①=②という方程式をつくります。
8400J=420x(J)
これを解いて
x=20
したがって水の上昇温度は20℃です。
※注意
上の例題では「電熱線から発生した熱量は水の温度上昇のみに使われる」としました。
しかし実際はそうはなりません。
電熱線から発生した熱量は、容器の温度上昇に使われたり、空気中へ逃げたりもしますから。
そのため問題によっては
「電熱線から発生した熱量のうち30%が水の温度上昇に使われる」
なんて注意書きがあることもあります。
「電熱線から発生した熱のすべてが水の温度上昇に使われる」のか
「電熱線から発生した熱の一部が水の温度上昇に使われる」のか
問題文をよく読みましょう。
例題2
次のような回路で容器内の水を温める。
6分間電流を流すと、水の温度が5℃上昇していた。
このとき水の温度上昇に使われた熱量は、電熱線から発生した熱量のうちの何%か。
ただし1cal=4.2Jとする。
【解答】
まず電熱線から出る熱量を求めます。
電熱線から出た熱量(J)=電力(W)×時間(s)
=1A×50V×360秒=18000J
次に水300gの温度が5℃上がったことから、水に入った熱量を求めます。
水に入った熱量(J)=300g×5℃×4.2=6300J
電熱線から出た熱量18000Jのうち、水に入ったのは6300Jです。
ということは
6300÷18000×100=35
となり、したがって正解は35%となります。
「電熱線から発生した熱の “すてべ” が水の温度上昇に使われる」のか
「電熱線から発生した熱の “一部” が水の温度上昇に使われる」のか
問題文をよく読みましょう。