1.熱量
▼熱量
熱エネルギーの量のこと。単位は【J】(ジュール)。
▼熱量の求め方
熱量(J)=電力(W)×時間(秒)
エネルギーの単位はすべて【J】です。
電気器具から発生した熱エネルギーの量を特に「発熱量」といいます。
2.水を温める
水の温度は電熱線から発生した熱によって上がります。
電熱線から発生した熱がすべて水の温度上昇に使われるとき、水の上昇温度は熱量に比例します。
(ちなみに水の量には反比例します)
例題
次の図1のような回路で5分間電流を流し水を温めた。
このとき水の温度が3℃上がった。
図1
次の図2の回路は、電流を流す時間や水の量は図1と同じである。
このとき水の温度は何℃上がるか答えなさい。
ただし、電熱線から発生した熱はすべて水の温度上昇に使われるものとする。
図2
【解答】
まず、図1の回路で電熱線から発生する熱量を計算します。
オームの法則より
電流(A)=電圧(V)÷抵抗(Ω)=15÷50=0.3A
電力の公式から
電力(W)=電流(A)×電圧(V)=0.3A×15V=4.5W
熱量の公式から
電熱線から出る熱量(J)=電力(W)×時間(秒)=4.5W×300秒=1350J・・・①
次に図2の回路で電熱線から発生する熱量を計算します。
オームの法則より
電流(A)=電圧(V)÷抵抗(Ω)=60÷50=1.2A
電力の公式から
電力(W)=電流(A)×電圧(V)=1.2A×60V=72W
熱量の公式から
電熱線から出る熱量(J)=電力(W)×時間(秒)=72W×300秒=21600J・・・②
①、②より、図2の電熱線から出る熱量が図1の電熱線から出る熱量の何倍になっているかを計算すると
21600J÷1350J=16倍
よって、図2での水の上昇温度も図1の16倍。
図1の水の上昇温度は3℃であるため
図2の水の上昇温度=3℃×16=48℃
したがって図2の水の上昇温度は48℃となります。
※ヒント
この例題では図1と図2で「水の量」「電流を流した時間」が同じになっています。
ということは図1と図2の電熱線から出る熱量の違いは「電力」が原因ということになります。
これは
図1と図2の水の上昇温度の違いは、電力の違いと等しい
とも言えます。
このことから、
図2の電力72W÷図1の電力4.5W=16倍
と電力の違いを求めて
そこから
図2の上昇温度=図1の上昇温度3℃×16=48℃
と考えてもよいわけです。
また、電圧をn倍すると、電力はn²倍になるという性質を利用すれば
図1から図2で電圧が4倍になった
↓
つまり電力は 4²=16倍
↓
上昇温度も16倍
というふうに、よりすばやく計算できます。
3.電力量
▼電力量
電力に時間をかけたもの。
▼電力量の求め方
電力量(Wh)=電力(W)×時間(時間)
電力量(J)=電力(W)×時間(秒)
時間を【秒】(s) でかけ算するか、【時間】(h) でかけ算するかでその単位が違います。
電力量と熱量にほとんど違いはありません。
・「何Jですか」という問いか
・「何Whですか」という問いか
問題文をよく読みましょう。
・「J=W×秒」
・「水温上昇」は「電力」で考えると楽なことが多い。