成績アップの秘訣~基礎と実践のバランス「中学理科#133~ブリッジ回路③~」 勉強が好きになる小中高生向け学習塾「札幌自学塾」

 

 

 

 

 

前回 ブリッジ回路②

 

 

 

1.ブリッジ回路の解法

ブリッジ回路には以下の2種類があります。

 

 

▼パターン1

 

 

 

▼パターン2

 

 

今回はパターン2の解法を見ていきましょう。

 

 

 

例題1

次のような回路で抵抗R₅に流れる電流・加わる電圧を求めよ。

 


 

 

【解答】

 

この問題の場合、以下の法則を利用します。

 

 

R₁×R₄=R₂×R₃のとき、ABの部分には電流が流れない

 

 

 

上の回路では

 

  R₁×R₄=4Ω×15Ω=60

 

  R₂×R₃=6Ω×10Ω=60

 

となっています。↓

 

 

 

よってR₅には電流は流れません。

 

電流が流れていないので、加わる電圧も0Vです。

 

 

したがって正解は0A・0Vとなります。

 

 

 

例題2

次のような回路で抵抗R₅に流れる電流・加わる電圧を求めよ。

 


 

 

【解答】

 

まずは分かりやすくするために、下の図のように回路を書き換えてみます。

 

 

 

 

この問題の条件では

 

  R₁×R₄=2Ω×30Ω=60

 

  R₂×R₃=70Ω×10Ω=700

 

となり、R₁×R₄≠R₂×R₃なので例題1のようにはいきません。

 

 

 

このような場合、R₁・R₂・R₅に流れる電流をx(A)・y(A)・z(A)と文字で置きます。↓

 

 

 

 

ただしR₅に流れる電流は上から下へなのか、下から上へなのかわかっていません。

 

 

よって仮に「上から下へ z(A)流れているとする」と考えるのです。

 

 

計算によりzの値を求めたとき、

 

zの値が正である・・・上から下へ電流が流れている

 

zの値が負である・・・下から上へ電流が流れている

 

と考えるわけです。

 

 

では残りのR₃・R₄に流れる電流をx・y・zを用いて表しましょう。

 

 

R₁を流れる電流x(A)R₃R₅に分かれるので

 

R₃を流れる電流は

 

  x-z(A)

 

と表せます。

 

 

またR₂に流れる電流y(A)R₅に流れる電流z(A)と合流してR₄に流れるので

 

R₄に流れる電流は

 

  y+z(A)

 

と表せます。↓

 

 

 

 

次にR₁~R₅に加わる電圧をx・y・zを用いて表しましょう。

 

ここでオームの法則を利用します。

 

 

▼オームの法則

 

電圧(V)=抵抗(Ω)×電流(A)

 

 

以上より

 

  R₁の電圧 = 2Ω × x(A) = 2x(V)

 

  R₂の電圧 = 70Ω × y(A) = 70y(V)

 

  R₃の電圧 = 10Ω × (x-z)(A) = 10(x-z)(V)

 

  R₄の電圧 = 30Ω × (y+z)(A) = 30(y+z)(V)

 

  R₅の電圧 = 20Ω × z(A) = 20z(V)

 

となります。↓

 

 

 

 

ここで電圧だけに注目しましょう。↓

 

 

 

電流には電源からもらった電圧を1つの道筋で使い切るという法則があります。(キルヒホッフの法則)

 

 

電流の通り道は以下の3通りあります。

 

電源からもらった電圧16Vをこの①~③の道筋のそれぞれで使い切るのです。

 

 

 

の場合では、R₁R₃16Vを使い切ります。

 

よって

 

  2x(V)+10(x-z)(V)=16V

 

という式が成り立ちます。

 

 

 

の場合では、R₁R₅R₄16Vを使い切ります。

 

よって

 

  2x(V)+20z(V)+30(y+z)(V)=16V

 

という式が成り立ちます。

 

 

 

の場合では、R₂R₄16Vを使い切ります。

 

よって

 

  70y(V)+30(y+z)(V)=16V

 

という式が成り立ちます。

 

 

 

これで3つの方程式ができました。

 

  2x(V)+10(x-z)(V)=16V  

 

  2x(V)+20z(V)+30(y+z)(V)=16V

 

  70y(V)+30(y+z)(V)=16V

 

これを連立方程式として解くのです。

 

 

これらを解いて

 

  x=1.5 y=0.1 z=0.2

 

となります。

 

 

よってR₁~R₅に流れる電流は↓のようになっています。

 

 

 

またR₅に加わる電圧は20z(V)なので

 

  20×0.2=4V

 

 

となります。

 

 

よって正解は電流が0.2A・電圧が4Vとなります。

 

 


 

 

この解法はパターン1にも適用できる万能な解法です。

 

しかし未知数がx・y・zの3つある連立方程式を解かなければなりません。

 

 

よってブリッジ回路の問題は以下のように解法を探りましょう。

 

① R₁×R₄=R₂×R₃になっていれば中央の電流は0A

 

② ①ではないパターン1ならば↓のように書き換え

 

 

③ ①ではないパターン2ならば3か所の電流を文字設定し連立方程式をつくる