1.ブリッジ回路の解法
ブリッジ回路には以下の2種類があります。
▼パターン1
▼パターン2
今回はパターン2の解法を見ていきましょう。
例題1
次のような回路で抵抗R₅に流れる電流・加わる電圧を求めよ。
【解答】
この問題の場合、以下の法則を利用します。
R₁×R₄=R₂×R₃のとき、ABの部分には電流が流れない。
上の回路では
R₁×R₄=4Ω×15Ω=60
R₂×R₃=6Ω×10Ω=60
となっています。↓
よってR₅には電流は流れません。
電流が流れていないので、加わる電圧も0Vです。
したがって正解は0A・0Vとなります。
例題2
次のような回路で抵抗R₅に流れる電流・加わる電圧を求めよ。
【解答】
まずは分かりやすくするために、下の図のように回路を書き換えてみます。
この問題の条件では
R₁×R₄=2Ω×30Ω=60
R₂×R₃=70Ω×10Ω=700
となり、R₁×R₄≠R₂×R₃なので例題1のようにはいきません。
このような場合、R₁・R₂・R₅に流れる電流をx(A)・y(A)・z(A)と文字で置きます。↓
ただしR₅に流れる電流は上から下へなのか、下から上へなのかわかっていません。
よって仮に「上から下へ z(A)流れているとする」と考えるのです。
計算によりzの値を求めたとき、
zの値が正である・・・上から下へ電流が流れている
zの値が負である・・・下から上へ電流が流れている
と考えるわけです。
では残りのR₃・R₄に流れる電流をx・y・zを用いて表しましょう。
R₁を流れる電流x(A)がR₃とR₅に分かれるので
R₃を流れる電流は
x-z(A)
と表せます。
またR₂に流れる電流y(A)がR₅に流れる電流z(A)と合流してR₄に流れるので
R₄に流れる電流は
y+z(A)
と表せます。↓
次にR₁~R₅に加わる電圧をx・y・zを用いて表しましょう。
ここでオームの法則を利用します。
電圧(V)=抵抗(Ω)×電流(A)
以上より
R₁の電圧 = 2Ω × x(A) = 2x(V)
R₂の電圧 = 70Ω × y(A) = 70y(V)
R₃の電圧 = 10Ω × (x-z)(A) = 10(x-z)(V)
R₄の電圧 = 30Ω × (y+z)(A) = 30(y+z)(V)
R₅の電圧 = 20Ω × z(A) = 20z(V)
となります。↓
ここで電圧だけに注目しましょう。↓
電流には電源からもらった電圧を1つの道筋で使い切るという法則があります。(キルヒホッフの法則)
電流の通り道は以下の3通りあります。
電源からもらった電圧16Vをこの①~③の道筋のそれぞれで使い切るのです。
①の場合では、R₁とR₃で16Vを使い切ります。
よって
2x(V)+10(x-z)(V)=16V
という式が成り立ちます。
②の場合では、R₁とR₅とR₄で16Vを使い切ります。
よって
2x(V)+20z(V)+30(y+z)(V)=16V
という式が成り立ちます。
③の場合では、R₂とR₄で16Vを使い切ります。
よって
70y(V)+30(y+z)(V)=16V
という式が成り立ちます。
これで3つの方程式ができました。
2x(V)+10(x-z)(V)=16V
2x(V)+20z(V)+30(y+z)(V)=16V
70y(V)+30(y+z)(V)=16V
これを連立方程式として解くのです。
これらを解いて
x=1.5 y=0.1 z=0.2
となります。
よってR₁~R₅に流れる電流は↓のようになっています。
またR₅に加わる電圧は20z(V)なので
20×0.2=4V
となります。
よって正解は電流が0.2A・電圧が4Vとなります。
この解法はパターン1にも適用できる万能な解法です。
しかし未知数がx・y・zの3つある連立方程式を解かなければなりません。
よってブリッジ回路の問題は以下のように解法を探りましょう。
① R₁×R₄=R₂×R₃になっていれば中央の電流は0A。
② ①ではないパターン1ならば↓のように書き換え。
③ ①ではないパターン2ならば3か所の電流を文字設定し連立方程式をつくる。