成績アップの秘訣~基礎と実践のバランス「中学理科#115~連結された物体の力学的エネルギー~」 勉強が好きになる小中高生向け学習塾「札幌自学塾」 

 

1.連結された物体の力学的エネルギー

1kgの物体Aと2kgの物体Bが質量の無視できる糸によってつながれています。

 

これを↓の図のように、滑車のついた摩擦のない台に置いたとします。

 

 

 

 

 

ここで物体Bが3m落下したとき(↓)の物体A、Bの運動エネルギーを考えます。

 

 

 

 

また以下では100gの物体にはたらく重力は1Nであるとし、空気抵抗も考えないものとします。

 

 


 

 

この例のような連結された物体の力学的エネルギーは

 

物体Aの力学的エネルギー+物体Bの力学的エネルギーが保存されます。

 

 

 

言いかえると

 

連動して動く物体Aと物体Bを1つの物体としてみなし、この物体の力学的エネルギーが保存される

 

という考え方です。

 

 

 

物体Aだけの力学的エネルギーは保存されなしい、物体Bだけの力学的エネルギーも保存されません。

 

 

 

 

ではまず、

 

スタート時の物体Aの位置エネルギーを x(J)

 

スタート時の物体Bの位置エネルギーを y(J)

 

 

物体Bが3m落下した時点での物体Aの運動エネルギーを X(J)

 

 

物体Bが3m落下した時点での物体Bの運動エネルギーを Y(J)

 

 

とします。

 

 

 

物体Bは3m落下しているので、位置エネルギーが減少します。

 

その値は

 

  20N×3m=60J

 

 

 

 

 

ここで、スタート時の物体A、Bの位置エネルギー・運動エネルギーを表すと

 

 

  スタート時の物体Aの位置エネルギー=x(J)

 

  スタート時の物体Aの運動エネルギー=0(J)

 

  スタート時の物体Bの位置エネルギー=y(J)

 

  スタート時の物体Bの運動エネルギー=0(J)

 

 

 

 

これをあわせると

 

 

  連結物体の力学的エネルギー=x+y(J)・・・①

 

 

となります。

 

 

 

 

次に、物体Bが3m落下したときの物体A、Bの位置エネルギー・運動エネルギーを表すと

 

 

  落下したときの物体Aの位置エネルギー=x(J)

 

  落下したときの物体Aの運動エネルギー=X(J)

 

  落下したときの物体Bの位置エネルギー=y-60(J)

 

  落下したときの物体Bの運動エネルギー=Y(J)

 

 

 

 

 

これをあわせると

 

 

  連結物体の力学的エネルギー=x+y+X+Y-60(J)・・・②

 

 

となります。

 

 

 

力学的エネルギーの保存により、①と②は等しいので

 

  x+y=x+y+X+Y-60

 

 

 

よって

 

  X+Y=60・・・③

 

 

となります。

 

 

 

 

運動エネルギーは

 

 

で求められたので

 

 

 

 

物体A・Bともに速さは等しいので

 

 

  X:Y=1:2・・・④

 

 

となります。

 

 

 

したがって③、④より

 

  X=20J Y=40J

 

となります。

 

 

 

このように連結物体どうしの運動エネルギーは質量比によって決まります(速さが同じであるため)。

 

 


 

 

これをふまえると、文字式を使わずに解くこともできます。

 

 

この例のAとBの連結物体は60Jの位置エネルギーを失いました。↓

 

 

 

 

それ以外に失われたエネルギーはありません。

 

 

ということはこの60Jは運動エネルギーへと移り変わるはずです。

 

 

 

つまり

 

 

  物体Aの運動エネルギー+物体Bの運動エネルギー=60J

 

 

 

ということになり

 

 

  物体Aの運動エネルギー:物体Bの運動エネルギー=1:2

 

 

 

であるので

 

 

  物体Aの運動エネルギー=20J

 

 

  物体Bの運動エネルギー=40J

 

 

 

と求めることができます。

 

 

 

- POINT -

 

連結物体の運動は・・・

 

・連動して動く物体どうしを1つの物体としてみなし、この物体の力学的エネルギーが保存されると考える。

 

・連結物体どうしの運動エネルギーは質量比によって決まる。